研究概要 |
アジア亜大陸に位置するネパールでは,高度や気候といった環境と,それにともなう生活条件,さらに民族という要素がヒトに影響を与えていることになる.本研究では,高高度に順化したヒトの体力および発汗能についてどのような特徴が見られるかを追究すると同時に,ネパールと日本で,地理的条件が類似した地域に定住しているヒトたちの生活習慣が,体力や発汗能にどのような影響を及ぼしているかを調査・比較検討することを目的としてきた.そして,フィールドでの調査期間を,予定どおり9月20日から10月2日までとしていたが,ネパールはここ数年,国情が非常に不安定で,予定していた調査地も外務省の渡航勧告地域に指定されてしまったため,調査地を変更せざるを得なかった.それに伴い,調査内容に若干の変更を余儀なくされた. そこで本年度は,ネパールでの調査地をカスキ郡ポカラ郊外,および首都カトマンドゥーおよびその周辺とした.被検者は,それぞれの調査地から各10名の女性(年齢:18歳前後)を対象とした. ネパールの気候および標高がヒトにどのような影響を与えているかという課題に関しては,まず,1時間おきにデジタル温湿度計にて気温と湿度を測定,その際に紫外線(UV-B)の照射量も同時に測定した.そして標高差がヒトに与える影響の一指標として,マイクロカメラにて皮膚の接写撮影を実施した.さらに,生活習慣については,1日の消費カロリーを測定するため,被検者にカロリーカウンターを装着させ,それと並行して24時間生活時間調査を実施した. 現在,その結果を整理・執筆中である.
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