研究概要 |
本年度では単一ニューロン活動記録において動物の行動を特に体動を連続的に記録する方法の開発と飲水行動および覚醒睡眠の変化を連続的に評価するためのシステムを構築することが目的である。1)動物の体動モニターシステムの構築:これまで意識下ラットを用いた実験中に観察した限りにおいてはラット頭部が動くことなく起きる体動は無いように思えるので、ラット頭部に極小重力センサーを固定する方法を考案した。これにより二軸重力センサーで重量2g以下のものを用いることでラットに負担をかけることなく頭部の傾く方向とその角度及び変化速度を測定することが可能になった。X,Y方向とも電圧変化として出力されるので比較的単純に体動を捉えることか可能であるし、その波形から比較的簡単に開始時刻も正確に同定可能となる。この方法は他に実績がないために従来と同様にCCDカメラを用いて動画も必要である。そのために本研究補助金により購入したコンピュータでVideo capture cardを制御して画像を記録出来るようにした。この画像により行動の判定はもとより動物の状態を遠隔地からモニター可能なシステムを構築した。2)睡眠覚醒レベル判定と生理パラメーター測定:脳波と頚部筋電図も心電図、血圧及びユニット活動と共にA/D変換器より入力し、睡眠覚醒レベルとともに心拍数、血圧およびユニット活動と合わせてコンピュータ上のデータとして記録するシステムを構築した。同時にlicking sensorとdrop counterの出力も入力し同時に記録できるようにしたので飲水行動を明確に捉えて分析が可能になった。また比較的軽度なストレッサーとして、ラット頭部に固定したノズル先端より顔面に向けてair jetを行なうことが出来るようにした。3)データ収集並びに解析:ユニット活動と他の全てのパラメータはコンピュータにより5分間毎のデータとして保存するようにした。しかしユニット活動の記録を正確に行なうためにはサンプリング周波数を高くする必要があるのでデータサイズが巨大にはなるが新たに購入したコンピュータでオフライン処理を行なうと実時間の1/10で分析が可能になった。このようにしてデータを管理することで従来のデータレコーダーに記録したデータを実時間で再生して分析する時の数分の一の時間で分析が可能になる。これらのシステムにより自発的頻脈に先行するPVNユニット活動の増大は徐波睡眠から覚醒に移行する際に生じていることが明らかとなった。またこのユニットはREM睡眠と覚醒時に発火頻度が増大していて、徐波睡眠時に減少していることが明らかとなった。
|