哺乳類の骨格筋にはジヒドロピリジン受容体(DHPR)が1種類とリアノジン受容体(RyR)が主に1種類存在している。カエル骨格筋のDHPRの各サブユニットやRyRのcDNAのクローニングよりDHPRが1種類、RyRが2種類存在することが明らかとなった。そこでこの2種類のRyRの生理機能の違いを解明するため本研究を行った。 DHPRα1s欠損GLT細胞株(dysgenic mouse骨格筋由来細胞株)において、相同組換えとリガンド依存性Creリコンビナーゼによる部位特異的遺伝子組換えを併用した遺伝子ノックアウト法を用い、内在性マウスRyR遺伝子をノックアウトしてカエルのDHPRα1sとα-RyRまたはβ-RyRを発現できる培養細胞系の作製を計画した。 発現ベクターの作製…断片化されたままのDHPRα1sサブユニット約7kbを発現ベクターのpCI neoに構築した。αとβの2種類のRyR、それぞれ全長約15kbをpcDNA3.1/Hygに構築した。各クローンの5末端は開始メチオニンの上流にコザック配列を組み込み、その上流に発現ベクターに挿入できるサイトを作製した。ライブラリースクリーニングから得られた断片クローンにはオーバーラップの領域が短く、直接は結合が不可能な箇所がいくつかあった。その点に関してはオーバーラップ領域をPCRで再クローニングし、シークエンスをして配列を確認して構築に用いた。構築する際に不都合になる内在性制限酵素サイトはあらかじめアミノ酸配列に変化を起こさないよう塩基配列に変異を入れて用いた。また、DHPRα1sサブユニットとRyRに対する抗体を作製し、それぞれのタンパク質が培養細胞で発現することを確認した。 培養細胞の準備…GLT細胞株の入手が困難になったため、新たなdysgenic mouse骨格筋由来細胞株の樹立を行うか、または骨格筋由来の培養細胞のDHPRα1sサブユニットとRyRのダブルノックアウトを行ってGLT細胞株にかわる培養細胞を確立することを考えた。現時点では新たなdysgenic mouse骨格筋由来細胞株の樹立を行おうとしている。
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