能動感作を施したラットに抗原を反復吸入チャレンジさせることにより気道過敏性ラットを作製し、本気道過敏性モデルを用いて以下の知見が得られた。 1.気道過敏性時の気管支平滑筋ではagonist-induced Ca^<2+> sensitizationが大きく亢進しており、その結果過剰な収縮反応が惹起され、呼吸菌難等の喘息様症状が惹起される可能性を再確認した(Jpn.J.Pharmacol.2000:84;221-224)。 2.気道過敏性時め気管支平滑筋では、低分子量GTP結合蛋白質RhoAのup-regulationはもとより、agonistsによるRhoAの活性化機構が著しく亢進しており、これが増強されたagonist-induced Ca^<2+> sensitizationの原因となっている可能性を明らかにした(Br.J.Pharmacol.2001:133;886-890)。 3.気道過敏性時の気管支平滑筋において、RhoAの上流に位置する三量体GTP結合蛋白質G_<12>、G_<13>の発現量が増加しており、このG_<12>、G_<13>発現量の増加がRhoA活性化亢進の原因となっている可能性を明らかにした(Inflam.Res.2001:50;333-336)。 4.気道過敏性時の気管支平滑筋において、RhoAmRNAの高発現が認められることを明らかにした(投稿中)。 5.気道過敏性発症に関与する炎症性メディエーターの同定を試みたところ、過敏性時の気道組織中あるいは気管支肺胞洗浄液中にTNF-α、IL-1β、IL-2、IL-4などのcytokinesが高レベルで発現していることを明らかにした(投稿中)。また、正常ラットの気管支平滑筋を4.で高発現が認められたcytokineにて処置し、その収縮反応を観察したところ、TNF-αあるいはIL-1βを24時間インキュベートすることにより、acetylcholineに対する反応性が著明に大きくなることを明らかにした(投稿中)。 以上の知見をふまえ、現在、気管支平滑筋のagonist-induced Ca^<2+> sensitizationあるいはRhoA蛋白質およびmRNA発現量に及ぼすcytokinesの影響について検討中である。
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