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2001 年度 実績報告書

リン酸化を介するWntシグナル伝達経路の制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 12770059
研究機関広島大学

研究代表者

岸田 想子  広島大学, 医学部, 教務員 (40274089)

キーワードWnt / カゼインキナーゼ / リン酸化 / Dvl / Tcf / 転写活性化
研究概要

細胞外分泌蛋白質Wntのシグナルが、LRP/Frizzled受容体複合体から細胞内分子Dvl、蛋白質リン酸化酵素GSK-3β、β-カテニンへと伝達されると、β-カテニンは核に移行して転写因子TCFと複合体を形成し、遺伝子発現を促進して、細胞の分化や増殖、初期発生における体軸形成を抑制する。AxinはDvlやβ-カテニン、癌抑制遺伝子産物APCと複合体を形成し、GSK-3βによるβ-カテニンのリン酸化と分解を促進することが明らかになっている。カゼインキナーゼIε(CKIε)はDvlと結合し、アフリカツメガエルの二次体軸形成を誘導することから、Wntシグナル伝達経路を正に制御していると考えられるが、その作用機構は不明であったので、Wntシグナル伝達経路におけるCKIεの分子作用機構を解析した。
CKIεは細胞内においてDvlやAPCをリン酸化した。CKIεはin vitroにおいてDvlやAPC、Axin、β-カテニンを直接リン酸化したが、GSK-3βはリン酔化しなかった。したがって、少なくともDvlとAPCは細胞内でCKIεの直接の基質になると考えられた。CKIεはDvlと直接結合し、細胞内においてCKIε/Dvl/Axinの三者複合体を形成した。CKIεとDvlは相乗的に作用して、核内のβ-カテニン蓄積やTCFの転写活性化能の促進、ツメガエルの二次体軸の誘導を引き起こした。キナ-ゼネガティヴ型CKIεやCKIε非結合型Dvl変異体ではこの相乗的な促進は認められないことから、Wntシグナル伝達経路におけるCKIεの作用には、リン酸化酵素活性とCKIε/Dvl/Axinの三者複合体を形成することが必要である事や、CKIεはDvlと共にAxin上に結合することにより、β-カテニンの分解を抑制することが明らかとなった。今後さらにこの複合体中でのCKIεによるDvlやAPCのリン酸化の生理的意義を明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Kishida, M.: "Synergistic activation of the Wnt signaling pathway by Dvl and casein kinase Iε"J. Biol. Chem.. 276. 33147-33155 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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