CRE-BP1/ATF-2はb-ZIP構造をDNA結合領域として持つ転写活性化因子でありhomodimerや他のb-ZIP memberとheterodimerを形成してCRE配列に結合する。CRE-BP1/ATF-2は細胞外のストレスによりp38/JNKによってリン酸化を受けると転写活性化能が上昇することが知られている。このことはリン酸化CRE-BP1/ATF-2に特異的に結合しその転写活性化に貢献する因子の存在を示唆している。本研究はリン酸化CRE-BP1/ATF-2結合因子の同定を目的としたものである。Yeast two hybridの系を応用して、baitに使用したconstructにはLexA-CRE-BP1/ATF-2 fusion proteinに加えてJNKも同時に発現できるように工夫し、さらにスクリーニング用の培地には0.5M-sorbitolを添加しJNKが構成的に活性化できるようにした。以上の条件を用いて、ヒト脳由来のcDNA libraryのscreeningを試みたが現在までに目的のcDNAは得られていない。 また、上記と平行してCRE-BP1/ATF-2の生体内での機能を明らかにする目的で、遺伝学的解析が最も進んでいるショウジョウバエの系を利用することにした。ショウジョウバエにおいてはCRE-BP1/ATF-2のホモログは未同定であるので、embryo由来のcDNA libraryからCRE-BP1/ATF-2のショウジョウバエのホモログ(d-ATF)を同定した。d-ATFはCRE-BP1/ATF-2と同様にCRE配列に特異的に結合し、CREを介して転写活性化因子として機能し、細胞外のストレスによってリン酸化されると、転写活性化能が上昇することも明らかにした。
|