研究概要 |
平成12年度は、はじめに標本として用いる肝組織の採集、二次元上の形態計測を行う方法論のセットアップを行った。肝組織は手術症例、術中肝生検組織、剖検例を合わせ40例弱が収集された。このうちまずviral RNA等の保存条件の最も良好な術中肝生検組織9例を用いてviral RNAのin situ hybridizationを施行、RNAの存在の確認を行い、さらにpreliminaryにウイルス陽性細胞と壊死・線維化域との分布の関連を解析した。その結果9例中3例では壊死・線維化域周囲にウイルス感染細胞が明かに集中していることが見いだされた(p<0.01)。残る6例には明かな分布の偏りは見られなかった。従って少なくとも一部の症例ではB型慢性肝炎同様壊死炎症反応や線維化域の発生の分布とウイルス感染細胞の分布に相関がある可能性が示唆された。この結果はウイルス分布の偏りが症例ごとの壊死炎症反応や線維化の進展の違いを反映している可能性があることを充分論拠づけると思われた。この結果はProceedings of The Japanese Society of Pathology,89(1),pp 336,2000に掲載された。さらに2次元上での形態計測を行うに当たって、複雑系の計量法を導入し、コンピューター上でデジタル解析可能な方法論も並行して検討した。この方法論はfractal dimensionを導入したものであるが、方法論そのものとその試行実験として行われた解析結果はProceedings of The Japanese Society of Pathology,90(1),pp 246,2001に掲載された。
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