研究概要 |
Protein kinase C epsilon(PKCε)を発現する組換えアデノウイルス(Ad-PKCε)をAdenovirus Expression kit(宝酒造)により作成し、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(SCC4、SCC15、IMC-2)において実際に組換え蛋白が発現されていることを確認した。 Ad-βgalをコントロールウイルスとして用い、50MOIでそれぞれ感染させた。感染24時間後にのSCC4、SCC15およびIMC-2については100nMのPMA(PKCのactivator)を加えた。MTT assayにより24時間後の生細胞数を測定したところAd-PKCεを感染させた細胞はAd-βgalを感染させたものに比べていずれの細胞株でもおよそ30%の細胞数の減少が認められ細胞死が誘導された。この細胞死は形態的にアポトーシスではなく胞体内に空胞化を生じたネクローシスに近いものであった。つぎにwestern blottingによりcaspase-3のcleavageについて調べたが、いずれの細胞株でもcleavageはみとめられなかった。さらにこの細胞死がcaspaseの活性化を介しているのかどうか明らかにするため、caspase inhibitorであるz-VAD-FMK, DEJD-CHOおよびIETD-FMKを用いたが細胞死の抑制は認められなかった。従って、本研究により、PKCεが口腔扁平上皮癌細胞株にcaspaseを介さない細胞死を誘導することが明らかになった。
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