研究概要 |
最近,胃がんおよび大腸がんの発育・進展とシクロオキシゲナーゼ(COX)との関係が注目されてる.このCOXの下流には,核内ホルモン受容体ファミリーの一員であるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)が存在し,胃がん,大腸がん,などの培養細胞において,PPARγの発現が確認され,さらにリガンドよる抗腫瘍効果が報告されている.しかし,現時点ではPPARγと胃がん・大腸がん発生との接点については不明瞭な点が多い.そこで大腸がんおよび胃がんを対象にPPARγとの接点について検討した. (1)所有している培養細胞株(大腸がん,胃がん)を継代培養し,今まで解析した結果をもとに今回の検索用途に合致するように整理した. (2)獨協医科大学病院および関連病院で採取された大腸がんおよび胃がんの病理検体を臨床病理学的因子について検討し,コンピューター上でファイルした. (3)上記結果を参照の上,胃がんおよび大腸がん標本を対象に,PCR-RFLP法でppar γ codon12の多型(Pro12Ala)の頻度(第89回日本病理学会総会),免疫組織学的方法を用いたPPAR γ蛋白の発現部位の相違(第89回日本病理学会総会,第59回日本癌学会総会),さらに大腸がんではras遺伝子異常とppar γ codon12の多型との関係(第86回日本消化器病学会総会),培養細胞でもRT-PCRでもppar γ mRNAの発現(第89回日本病理学会総会)検討し,ppar γ codon12の多型(Pro12Ala)の頻度や発現部位の差異から胃がんおよび大腸がんの発育・進展との関係を明らかにした.今後はさらに検索を進め,病理検体解析への応用,診断の向上を目指す.
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