研究課題
本研究は微量サンプルから調整したライブラリー中の独立クローンを鋳型に、in situ hybridizationを用いたscreeningを行うことにより、部域的に発現の差異が認められる遺伝子の探索を行い、浸潤・転移メカニズム解明への寄与を図るものである。平成12年度は研究計画に基づき以下のような研究を行い、実績を得た。1)多検体cRNA probeの作成最適化PCR法によりcDNA鋳型断片を作成・精製後、Digoxigeninを取り込ませつつin vitro transcription反応を行って、in situ hybridizationに用いるcRNAプローブを効率良く作製する手法を確立できた。高効率で迅速なプローブの調整は全てのステップを96well formatで共通して行うことにより実現した。特に精製法では、当初の研究計画では研究代表者が以前開発したglass filter plateを用いた手法を想定していたが、plate baseのgel filtrationを用いた手法の方が質・量ともに優れていたため、こちらの手法を主に利用することにした。2)組織標本の調整条件、およびISH条件の検討高感度なin situ hybridizationが行えるよう、固定・包埋・Hybridization・洗浄などの各段階について条件検討を行った。標本自体の質および固定の条件の影響が最も大きいため、安定した反応条件を確定する目的の検討にはマウス皮下に移植した偽腫瘍組織を用いて現在も継続的に行っている。実際の腫瘍組織に対する解析としてヒト大腸がん腫瘍を用いた発現部位解析を開始した。同時に効率良い多検体化を目指してマイクロスライサーによる厚切り切片に対するsemi-wholemountなin situ hybridization法の開発を並行して進めており、このような手法の可能性を確認することに成功している。
すべて その他
すべて 文献書誌 (1件)