DAP12は1998年Lanierらによって発表された新規NKレセプター会合分子である。 我々はIL-2依存性CTLL-2とIL-2非依存性増殖を示す変異株との間のサブトラクションでITAMを含む膜蛋白を規定する新規遺伝子を単離していたがこのDAP12配列と同一であった。DAP12の生体における発現を検討するためにGST-DAP12融合蛋白を作製し、これを用いて抗DAP12ポリクローナル抗体を得た。この抗体を用いてマウス各臓器におけるタンパクレベルでのDAP12の発現を検討したところ、腹腔マクロファージや、肺、骨髄等、マクロファージを多く含むような臓器にDAP12の強い発現が認められた。マウス骨髄球系細胞株であるM1細胞ではDAP12の発現がほとんど見られないが、LPS等の刺激によりマクロファージへの分化が見られるとDAP12の発現が上昇する。そのためマクロファージへの分化の過程でDAP12のなんらかの関与があると考え、M1細胞にFLAG-DAP12を形質導入しM1細胞の変化を検討した。その結果、DAP12への刺激によりM1細胞のマクロファージ様細胞への劇的な形態変化と、CD86、Mac-1等、種々のマクロファージ表面抗原の発現が認められた。さらにこの時、免疫沈降による検討では17KDaのリン酸化分子の発現が認められた。この分子がDAP12自身がリン酸化されたものであるのか、新規リン酸化会合分子であるのかは不明であるが、DAP12のシグナルに重要であると考えられる。DAP12のITAM部分のチロシンをフェニルアラニンに変更した変異体ではこのリン酸化分子の発現は認められなかった。現在、この変異体を使用しマクロファージ分化におけるDAP12の役割とITAMモチーフを介したシグナル伝達について更に詳細な検討を加えているところである。
|