1.生理食塩水に浮遊させたヒト前立腺癌細胞株PC3-MM2(5X10^4/0.05ml)をヌードマウスの前立腺に移植した。34週で移植部位に腫瘍が認められたが、X線および組織学的検索で骨転移は認められなかった。 2.大動脈からの血流を介した転移性骨病変を得るためにPC3-MM2(5X10^5/0.05ml)をマウスの左心室に注入したが、転移性骨病変は得られなかった。そこで、脛骨の骨端にPC3-MM2(2X10^4/0.02ml)を直接注入した。X線上、34週で移植部位に骨破壊性と思われる病変が認められた。マウスは5週で屠殺され、組織学的に腫瘍細胞の骨破壊性増殖を確認した。 3.前立腺部および骨部の腫瘍における転移関連遺伝子の発現をin Situ hybridization法を用いて調べた。プローブとしてbasic fibroblast growth factor、Epidermal growth factor receptor、Matrix metalloproteinase-2、-9、E-cadherin、Vascular endothelial growth factor、Interlenkin-8およびPoly-dTを用い、発色のintensityを画像解析装置によって測定した。前立腺部および骨部の腫瘍において、全RNA量を反映するPoly-dTのintensityを100とした時、Epidermal growth factor receptorの発現レベルはそれぞれ27±5、42±6であり、有意差(P<0.05)が認められた。他の因子については有意差を認めなかった。以上の結果より前立腺輝細胞の骨での増殖にEpidermal growth factor receptorが関与している可能性が示された。
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