LPS活性化マクロファージのhistamine releasing factor(HRF)がラット腹腔内マスト細胞の緩徐な脱顆粒を誘導することを昨年明らかし、引き続きHRFの同定検索を行った。活性化マクロファージが窒素酸化物を放出することは周知のことであり、PFA310NO(東京化成工業社製)を用いて培養上清内の窒素酸化物(NO)を定量した。活性化マクロファージ群とcontrol群の間に統計学的な有意差は無く、量的及び半減期からNOはマスト細胞の緩徐な脱顆粒に直接関与しないと考えられた。次に活性化マクロファージ培養上清をaffi-gel blue gel(Bio Rad社)でアルブミンを除去し、ハイドロキシアパタイトカラムとゲルろ過カラムを組み合わせてHPLCで部分精製した。HRFは分子量100kDaのピークに強い活性を示した。以上の結果よりHRFはNOではなく熱安定な高分子プロテアーゼ物質と考えられた。 次に対照としたI型アレルギー反応においてマスト細胞特異的抗体(抗MASA抗体)を用いてMASA発現を検討した。IgE抗体の結合したラット腹腔マスト細胞を抗原(DNP-As)で刺激するとMASAが発現した。そこでヒトマスト細胞株(HMC-1)を用いてサイトカインによるMASA発現を検討した。IL-6(50ng/ml)、SCF(50ng/ml)、IL-4(10ng/ml)、TGF-β(10ng/ml)、TNF-α(20ng/ml)でHMC1を刺激し5日間培養した。TGF-βで刺激したHMC-1がmRNA及びタンパクレベルでMASAを発現し、活性化マクロファージ由来のTGF-βがマスト細胞の活性化を誘導することを示唆した。よって本実験は活性化マクロファージとマスト細胞のcell-cell interactionが急性と慢性炎症の両者に関与することを示した。
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