研究概要 |
ヒト好中球,T細胞,B細胞および筋細胞表面でのADP-ribosyltransferase(ADPRT)の存在の有無及びその機能を確認するとともにNADaseとNADをいれた時の筋細胞の変化およびA群レンサ球菌(GAS)の筋細胞への付着の変化について検討した. ヒト好中球,T細胞,B細胞および筋細胞表面でのADP-ribosyltransferase(ADPRT)の存在の有無及びその機能にいて:T細胞,B細胞及び筋細胞表面のADPRT活性は存在しなかったが,好中球表面にその活性を見出した.またその活性によって好中球表面のLFA-1のα鎖がADP-riboseと結合することも明らかにした.しかしその活性の存在がそのまま好中球にNADをかけた時の好中球の運動性や貧食能に大きな変化をあたえることはなかった. NADaseとNADをいれた時の筋細胞の変化およびA群レンサ球菌(GAS)の筋細胞への付着の変化:NADaseによる好中球の活性の抑制はみられず,NAD及びNADaseを筋細胞にいれた場合においても筋細胞がアポトーシスを誘導させるなどといった傾向もみられなかった.また筋細胞にGASを感染させてもNAD, NADaseの有無による菌の筋細胞への付着能に有意な変化はみられなかった. その他明らかとなった事項:ヒトT細胞でみることができなかったADPRT活性は,マウスのT細胞ではみられるが,この活性によってその活性を失うT細胞はどうなっていくのかについて検討した.その結果,マウスにNAD添加によってマウス体内のT細胞はT細胞活性物質による刺激に無反応になり,その後まもなくapoptosisに陥って肝臓に集積し,そこで破壊されることを明らかにした.
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