ライム病ボレリアがVMP-like sequence抗原(Vls抗原)を介して特定の宿主細胞(心内膜細胞など)に接着あるいは侵入している可能性を調べるため以下の実験を行った。 <組換体Vlsと宿主組織との相互作用>マウス感染実験によりライム病ボレリア297株の心臓への生着を阻害したVlsタイプ(VlsF16)を、大腸菌バックグラウンドでMalEと融合後、強制発現させ、この組換体タンパク質をカラムで精製した。これをマウスC3H/Heを用い、ボレリア感染マウスおよび健常マウスの心臓の凍結薄切切片を作成、VlsF16-MalE fusion proteinとのインターラクションを共焦点レーザー顕微鏡下で観察した。しかしながら、いずれの切片材料においても、試験品が組織に接着している像は観察されなかった。これは試験に用いた精製品の構造が保たれていないことに起因する可能性が高いと推測した。したがって本年報告されたボレリア形質転換plasmidを、ニューヨーク州立大学から供与を受け、現在これに心臓生着型Vls遺伝子をいれ込み、この遺伝子を欠失させた株を形質転換させ、接着・侵入試験を行うべく準備中である。
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