研究概要 |
レトロウイルス粒子の出芽に関わる宿主因子を同定する為に、以前に同定した出芽に必要十分なウイルス側のモチーフ(PPxY配列)をもつM-PMVのpp16をbaitタンパク質としてYeast Two-hybrid Systemによるスクリーニングを行った。その結果、2種類のcDNAクローンを候補因子として得た。最近になって、レトロウイルス(RSV,HIV)の出芽がproteasome阻害剤で抑制されることが報告されたが、候補クローンの一つが26Sproteasomeのサブユニットであることから有力な候補として、現在、この因子について出芽との関連を検討中である。 また、PPxY配列は、レトロウイルス以外にもEbola virus、VSVなど多くのウイルスで保存されていることを以前に報告したが、最近になって、実際にこの配列がこれらのウイルスの粒子出芽に必須であることが明らかにされた。そこで、proteasome阻害剤が、これらのウイルスに対しても出芽抑制作用を持つことが期待される。実際に、2種類のproteasome阻害剤(MG132、Lactacystin)を用いて、VSVの出芽に対する効果を検討したところ、何れの薬剤においても20μMで90%以上、60μMで99%以上の出芽抑制が確認できた。今後は、抗ウイルス剤としての有効性を検討するため、その作用機構を解析するとともにin vivoでの効果を調べる予定である。 ウイルス粒子の出芽を総合的に理解するには、その前段諧であるAssemblyと出芽部位へのウイルスタンパク質の輸送の機構を明らかにすることも重要である。本研究では、M-PMVが細胞質でウイルスCapsidを形成するのに重要な部位として、GagにコードされるMAの55番目のアミノ酸を同定することに成功した(Yasuda&Hunter,2000)。
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