スーパー抗原によるT細胞活性化に特異的に関与するシグナル伝達分子の同定 バクテリア内毒素などに代表されるスーパー抗原は、特定のTCR Vβ鎖を有するT細胞を強く活性化することが知られており、細胞内毒素ショックやある種の自己免疫疾患の原因であることも報告されている。ところが、その詳細な活性化シグナル伝達機構は不明である。我々は、チトクロームc特異的マウスT細胞ハイブリドーマ、2B4のvariantを解析する中で、抗原刺激や抗CD3抗体刺激には応答できるが、スーパー抗原に対しては反応できない変異T細胞を樹立した。そこで、この細胞株に欠損しているシグナル伝達経路を同定することを目的として、T細胞活性化に重要な転写因子、NF-ATの認識配列にGFPを連結したレポーター遺伝子を導入し、正常な活性化が起こると蛍光を発する細胞株を樹立した。このクローンにレトロウイルスに組み込んだマウスT細胞cDNAライブラリーを導入し、スーパー抗原刺激に応答して蛍光を発する細胞をソーティングにより回収した。実際、スーパー抗原応答性が回復したクローンが20クローン得られた。現在これらの細胞より導入遺伝子を決定、並びにその機能解析を実施中である。更に、チトクロームc特異的T細胞ハイブリドーマ2B4に予めNF-AT-GFPを導入した細胞を変異原処理することにより、TCR細胞表面発現は正常であるにもかかわらず抗TCR抗体刺激に応答できないクローンを樹立した。このクローンにも同様に発現cDNAライブラリーをレトロウイルスを用いて導入し、TCRによる応答が回復するクローンを得た。現在これらのクローンに関しても導入遺伝子の解析を進めている。
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