1.BCL-3結合蛋白のアミノ酸配列の決定配列を決定した結果、この蛋白は、1770アミノ酸からなる新規なものであった。またN末側にWalker型NTP結合配列を有し、そのNTP結合配列を含む領域は2′-3′cyclic nucleotide phoshodiestraseと、またC末端領域はミスマッチ修復に関与するMutS2ファミリーにみられるSmrドメインと相同性があることが示された。 2.BCL-3との相互作用の生化学的解析 欠失変異体を用いた、in vitro及びin vivoの解析より、上記NTP結合配列を含むN末側領域において、BCL-3と相互作用する事が示された。また、同様の解析により、N末側領域は転写コアクティベーターp300/CBPとも相互作用すること、さらにRNAに対して高い親和性を有することが明かとなった。また、C末側のSmrドメインはオリゴマー形成に関与することを示唆する結果が得られた。 3.発現様式(組織および細胞内局在等)の検討 各組織におけるmRNAの発現をノーザンブロット法により検討した結果、脳以外の組織で発現が検出された。特に胸腺、膵臓で高い発現が見られた。また、胎児においても高い発現が認められた。 現在、遺伝子発現に対する影響を調べると共に、ノックアウトマウス作製の準備を進めている。また、胚中心形成過程において発現が誘導される遺伝子に関してBCL-3およびBCL-3結合蛋白の関与を検討している。
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