DR5(Death Receptor 5)は、癌抑制遺伝子p53の下流遺伝子であり、DR5を過剰発現させることにより様々な癌細胞にアポトーシスを誘導できる。DR5遺伝子のプロモーターを解析して発現機構を明らかにし、またプロモーターを活性化する薬剤のスクリーニングを行うことにより、癌の化学予防薬の開発を試みる計画である。そこで、DR5遺伝子のプロモーター領域をヒトゲノムライブラリーからスクリーニングし、プロモーターの基本構造を解析した。得られたプロモーター断片(2.5kbp)を、ルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだプラスミド(DR5-luc)を作製した。このプラスミドを癌細胞に導入してルシフェラーゼの酵素活性を測定した結果、このプロモーター断片が実際にプロモーター活性を持つことを確認した。さらにプロモーター上流側を断片的に短くした変異体を作製して癌細胞に導入し、ルシフェラーぜ活性を測定した結果、翻訳開始点の上流-116bpから-198bpの領域に最小プロモーター領域が含まれていると考えられた。また、プロモーター領域1.2kbpのDNA配列を明らかにしデータベースに登録した(GenBank Accession Number:AB054004)。この配列に対し、既知の転写因子のDNA結合配列とのホモロジー検索を行った結果、c-Ets2、AML-1、c-Myb、SP1のような転写因子の結合配列があることがわかった。さらに、DR5-lucを安定導入した大腸癌細胞株を樹立し、DR5遺伝子プロモーターを活性化する薬剤を、製薬会社の協力を得てハイスループットスクリーニングにより探索中である。
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