目的:本研究は、1997年山形県内2市で65歳以上の住民2317名に実施した「閉じこもり」の調査対象者のうち、生存が確認された人を対象に自立度を追跡し、自立度別に転帰を明らかにし、さらに自立度の変化とその変化に関連する要因分析を行うことである。 方法:2000年の7〜8月にかけて、生存者に対して質問紙で郵送調査を実施した。自立は厚生省の障害老人のための自立度判定基準に基づいて、ランクJを自立、ランクAを「閉じこもり」、ランクB・Cを寝たきりと定義した。 結果:3年後の全体の生存率は92.2%であった。女性の方が有意に生存率が高かった。また、年齢は75歳以上の方が有意に死亡率が高かった。初回調査の判定基準により把握した自立・「閉じこもり」・寝たきりの自立度別に3年後の生存率を見たところ、自立は94.7%、「閉じこもり」は77.9%、寝たきりは52.0%だった。続いて、2回とも調査可能であった対象者のみで、判定基準で測定した自立度が初回調査から3年後どの程度変化しているのかを検討したところ、自立群は3年後も自立が93%、閉じこもりになったのが5%、寝たきりは2%だった。閉じこもり群では、自立が18.9%、閉じこもりが56.8%、寝たきりが24.3%だった。寝たきり群では、自立が16.6%、閉じこもりは16.7%、寝たきりは66.7%となった。 考察:自立が低下するに従って、3年後の死亡率が高くなることが判明した。しかし、3年後の自立度変化をみると高齢者の自立度は可塑的であることが示された。
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