研究概要 |
食習慣とアレルギー疾患との関連を解明するため、断面調査による検討を実施した。対象者は1956〜70年に出生した名古屋市瑞穂区、昭和区在住の女性から無作為抽出した1,977人である。2000年8月に、アレルギー症状、家族歴、既往歴、生活習慣についての情報を自記式問診票を用いた郵送法で収集した。生活習慣のうち、食事については栄養素・食品群摂取量が推定可能な食物摂取頻度調査票を用いた。花粉症の判定は京都府立医大基準、アレルギー性鼻炎(以下「鼻炎」)およびアトピー性皮膚炎(以下「アトピー」)の判定はISACC (International Study of Asthma and Allergies in Childhood)基準に基づいた。結果の解析ではunconditional logistic modelにより、年齢その他の交絡要因を調整し、各栄養素・食品群摂取量の第1四分位に対する第2-4四分位のオッズ比を算出した。 回答率は63.3%であった。推定エネルギー摂取量が極端な値の者を除外した1,199人を分析対象としたところ、345人、425人、143人がそれぞれ花粉症、鼻炎、アトピーと判定された。花粉症および鼻炎については、栄養素で亜鉛、レチノール、ビタミンD、食品群で魚介類の摂取がリスクと負に関連する傾向が認められた(trend p<0.05)。アトピー性皮膚炎については明らかな量反応関係を示すものはなかったが、ビタミンC、果実類を多量に摂取する群で有意に低いオッズ比が観察された。 栄養素・食品群以外の要因では、両親のアレルギー疾患、肥満が花粉症と正に、また兄弟3人以上と喫煙が負にそれぞれ関連していた。鼻炎では両親のアレルギー疾患、室内でのペット飼育、肥満、月1回以上のハンバーガー摂取がオッズ比上昇と有意な関連を示した。アトピーについては、両親のアレルギー疾患、喫煙が有意なリスク増加要因であった。
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