本年度の研究概要は、以下の3点である。 1.糖尿病患者数の将来予測実施に必要な基礎資料の収集 糖尿病患者数の将来予測に必要な罹患率、死亡率などの値を国内外の学術文献、統計資料から収集した。罹患率の情報は主に海外著名学術雑誌より収集、死亡率の情報は厚生省発行の人口動態統計などから収集した。罹患率、死亡率に関する情報収集にあわせ、公衆衛生政策の変化や新治療法普及などに伴った罹患数減少などの効果検討を目的とした、介入効果の情報も収集した。介入効果に関する情報は現在実施の臨床試験結果をまとめた論文より収集した。 2.合併症患者数予測のためのマルコフモデルの検討 糖尿病患者数の将来予測とともに糖尿病合併症の将来予測をおこなう目的で、マルコフモデル構築のための検討をおこなった。いくつかのモデルの検討がなされたが、同種の研究および臨床研究の文献より、適切なモデル作成を目的とした検討を行った。また近年の保健医療分野におけるマルコフモデルの方法論の発展、およびその応用例についてもあわせて収集、検討をおこなった。とくにマルコフモデルにおける移行率の不確実性に関する問題点について詳細な検討をおこなった。 3.コンピュータプログラム試案の検討を行った。 マルコフモデルによる将来予測の実施に向け、コンピュータプログラムの試作を実施した。また決断分析のためのコンピュータソフトを購入、試用することで、コンピュータプログラムの参考とした。
|