研究概要 |
地理情報システムを用いて、地域高齢者を対象とした保健・医療・福祉サービスの中から、通所介護サービスに注目し、それらの施設の地理的分布及び地理的アクセスにおける現状を把握した。そして、地理的アクセスを把握する際の問題点と、地理情報システムで得た結果の妥当性の確認について考察した。 東京都八王子市(面積186.31km^2)を対象とする通所介護施設と同市内の基準地域メッシュの65歳以上人口に関するデータセットを作成し、地理情報システム用ソフトウエアを用いて、それらのデータを数値地図上で統合した。そして、各地域メッシュの中心点から各施設までの道路網による最短ルートの距離を測定することで地理的アクセスを推計した。 平成12年10月1日時点で、八王子市をサービス対象としている通所介護施設は47カ所あった。八王子市内に中心点があり、地域高齢者が住んでいる基準地域メッシュ数は139で、平成12年の地域高齢者人口は73,760人と推計された。各基準地域メッシュから最寄りの通所介護施設までの距離の平均値は1.99km(SD=1.75、最大値=9.21、最小値=0.03)だった。地域メッシュの中心点から3km未満と5km未満に5カ所以上施設が所在している地域高齢者の割合はそれぞれ57.3%、96.4%だった。 比較的大きな市では、地域高齢者の通所介護施設への地理的アクセスにばらつきがあった。今後、このような地理的アクセスの違いと通所介護サービスの利用との関連を明らかにしていく必要がある。
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