研究概要 |
H型α(1,2)フコース転移酵素遺伝子のプロモータ-領域内で、ヒトとげっ歯類の種を超えて保存されており転写の活性化に重要であると考えられる37bpに結合するタンパク質をコードする遺伝子のクローニングを0ne hybrid systemを用いておこない、得られた数種のクローンについてそのシークエンスを決定した。その結果、これらのクローンのうちいくつかはライブラリーとして用いた肝臓で発現している遺伝子ではあるが転写因子ではないことが明らかなタンパク質をコードしているものと、これまでに同定されていない未知の遺伝子であった。 そこで未知のものに関して、実際に37bpのDNA断片に結合するのかどうかを知るため、大腸菌の系でリコンビナントタンパク質を作成し、37bpのプローブに対するゲルシフトアッセイをおこなったところ、特異的なシフトしたバンドは得られなかった。さらにこの遺伝子を真核細胞発現ベクターに組み込み、H型α(1,2)フコース転移酵素遺伝子プロモーターのレポーターコンストラクトと同時にトランスフェクションをおこない転写活性の変化を調べたが、活性化能は認められなかった。これらのことから得られたクローンは偽陽性であると考えられた。その原因としてはバイトコンストラクトに問題がある、つまり絞られた37bpのバイト領域のみでは特異的な転写因子の結合には十分ではないことが考えられ、現在この領域を含む、より長い断片を用いて解析をおこなっている。またcDNAライブラリーについても、今回用いた組織由来以外のものについて検討をおこなっている。
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