研究概要 |
自己免疫性1型糖尿病は、インスリンを産生する膵β細胞が自己抗原特異的細胞傷害性T細胞によって破壊される事によって発症する自己免疫疾患(Th1 disease)であり、その成立において樹状細胞の異常が重要な役割を演じる。1型糖尿病患者由来の樹状細胞ではCD86の発現が低く(Takahashi他 J Immunol,1998)、自己CD4陽性細胞に対するTh2サイトカイン産生誘導能が低い(未発表)。この背景には、樹状細胞の分化過程でautocrine的に分泌される分化因子の産生異常が関わっている可能性がある。 これらの液性因子の異常を修飾することによって樹状細胞の正常な分化を導く事が可能であれば、膵β細胞抗原特異的なTh2タイプの抑制性調節性T細胞を誘導する事が可能であると考えられる。 東北大学医学部附属病院通院中の自己免疫性1型糖尿病患者を対象とし、末梢血単核球をGM-CSFとIL-4の存在下で培養、第2、4、6、7日に培養液を交換・保存し、上清中の樹状細胞の分化に関与するサイトカイン・ケモカインをELISAにて測定した。 培養上清中のRANTES、MIPα、MIPβ、IFNα、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-16の濃度の時間経過は、1型糖尿病患者(n=4)と健常コントロール(n=7)との間で、有意差を認めなかった。
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