多剤併用療法に対しても抵抗性をもつ薬剤耐性HIVに有効である新規核酸系逆転写酵素阻害剤開発を行った。核酸糖鎖の4位を置換したピリミジン系核酸誘導体が野生株のみならず、site directed mutagenesisにて作製したAZT、DDI、DDC等に対する単剤耐性感染性クローンに対しても強い抗ウイルス作用を示した。さらにAZT、DDI、DDC、D4Tに対して同時高度耐性になるウイルスに対しても効果が認められた。これら誘導体のうち4位をエチニル基に置換したものは3-TC耐性HIV-1に対しても強い抗ウイルス作用を維持していたが、他は効果が著しく減弱した。また、非核酸系逆転写酵素阻害剤耐性株とHIV-2に対しても効果があることが判明した。作用機序解析のためにtime of drug additionと核酸競合実験を行い、抗ウイルス作用が核酸系逆転写酵素阻害剤のそれと同様であることを明らかとした。プリン系核酸誘導体においても4位を置換した核酸は強い抗ウイルス効果を示し、その毒性・活性比が、1000以上になるものを見いだした。これらの薬剤は酸耐性であり、経口投与の可能性を示した。
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