目的:IL-12遺伝子治療の臨床応用を最終目標とし、マウスIL-12発現プラスミドの投与量の違いにより自己免疫モデルマウスの病態がどう修飾されるかを検討した。 結果:MRL/MP-lpr/lprマウスに対してマウスIL-12発現プラスミド(pIL-12)を投与し、全身リンパ節腫脹・脾腫・腎炎などの自己免疫疾患の病態を観察した。前年の報告で、20μg/動物を3週間毎筋注することによりリンパ節へのCD4^-CD8^-T細胞の異常増殖が抑制され、全身リンパ節腫脹の軽減・脾腫の軽減・尿蛋白の減少・腎炎の組織学的所見の改善などが認められたことを報告した。今年度はさらに、MRLマウスの加齢に伴い血清IL-12(p40)が上昇することをELISAにて確認した。P40はIL-12の生理的アンタゴニストであり、この結果はIL-12投与が病態に有用である可能性をさらに示唆している。しかし、異なる量のpIL-12を同マウスに投与し血清中のIL-12をELISAにて測定した実験では、明らかな用量依存性の血清IL-12の上昇は認められなかった。また、高用量(100μg)の投与では逆にリンパ節腫腸は増悪し、CD4^-CD8^-T細胞の異常増殖は促進されることが今回確認された。これはIL-12によりCD4^-CD8^-T細胞のアポトーシスが抑制されるためと考えられた。そこでさらに、プラスミド由来のIL-12mRNAのみを検出するRT-PCRの系を確立し、異なる量のpIL-12を投与した後の生体内でのmRNA発現を定量することを試みたが、この実験系による解析では十分な結果は得られなかった。
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