研究概要 |
滑膜切除術を施行された慢性関節リウマチ(RA)患者15例より、切除滑膜および末梢血を採取した。末梢血からは血清および単核球を分離し、滑膜組織よりは切片作製用のブロックを数個、凍結包埋した。また残りの滑膜組織より、浸潤単核球を浮遊細胞として分離した。血清および単核球は凍結、保存した。 RAに特異的な自己抗原として、gp39、YKL39、cartilage intermedlated layer protein(CILP)、CD69、SS-Aをリコンピナント蛋白として準備した。即ち、gp39およびYKL39は、N末にマルトース結合蛋白(maltose binding protein,MBP)およびC末にヒスチジンが6個連続したペプチド(His-tag)が結合した融合蛋白として発現し、ニッケルカラムにて精製した。CILPはN末にβ-galactosidase(β-gal)およびC末にHis-tagが結合した融合蛋白として発現し、ニッケルカラムにて精製した。CD69はN末にMBPが結合した融合蛋白として発現し、アミロースレジンにて精製した。SS-Aは、N末にβ-galが結合した融合蛋白として発現した。 前述の保存患者血清を用い、酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA法)にて、これらの自己抗原に対し抗体を産生している患者をスクリーニングした。その結果、抗SS-A抗体陽性例が2例、抗YKL39抗体陽性例が1例検出された。上記陽性例の滑膜組織より切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色を施行した。抗SS-A抗体陽性例の1例および抗YKL39抗体陽性例にて、著明なリンパ球の浸潤およびリンパ濾胞様の構造を認めた。
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