本年度はSCID-hu-PBLマウスにおける抗破傷風IgE抗体産生を検討した。健常人ドナー全88例より得られた末梢血PMNをSCIDマウスに移入し、破傷風トキソイド(Ttd)免疫後あるいは非免疫後のマウスにおける抗破傷風IgGおよびIgE抗体産生を血中抗体化を測定することによって観察した。その結果、以下のような成績が得られた。 1.抗破傷風IgG抗体産生は全88例中、非免疫群で48例(54.5%)、免疫群で63例(71.6%)に検出されたのに対して、抗破傷風IgE抗体産生は非免疫群で5例(5.7%)、免疫群で18例(20.5%)に観察された。 2.SCID-hu-PBLマウスにおける抗破傷風IgE抗体の陽性率はドナーの年齢40才未満でドナーの年齢40才以上の群と比較して顕著に高かった。 3.抗破傷風IgG抗体価と抗破傷風IgE抗体価の間に相関は認められなかった。 4.SCID-hu-PBLマウスにおける抗破傷風IgE抗体産生にはドナー間での性差は認められなかった。 5.リポソーム表面結合Ttdはアルミニウム沈降Ttdと比較して顕著に低レベルの抗破傷風IgE抗体産生を誘導し、かつ致死量の破傷風毒素に対する抵抗性(=中和抗体の産生)をよく誘導した。
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