研究課題
今年度は以下の2項目の検討を行った。1.抗原特異的IgE抗体産生一次免疫応答系の確立の試みヒトは多様な抗原に対する免疫memoryを保持しているので、SCID-hu-PBLマウスにおける一次免疫応答を観察する為の抗原の選択は困難である。そこで我々は病原性大腸菌O157の産生するベロ毒素(VT/SLT)に注目した。VTは毒性活性が非常に強く、免疫memoryをつくらせるに足る抗原量は致死量をはるかに超えるため、VTに対するmemoryを保持するdonorは非常に少ないと予想される。SCID-hu-PBLマウスをベロトキソイドで免疫し、抗VTIgG/IgE抗体産生を検討した。SCIDマウスにヒト末梢血PBLを移入して免疫を行わない群ではマウス末梢血中に抗VTIgG抗体は検出されなかったが、細胞の移入後ベロトキソイドで免疫した群では約半数のPBLドナーにおいて顕著な抗VTIgG抗体が検出され、同時に抗VTIgE抗体も検出された。このことから、SCID-huPBLマウスにおいて一次免疫応答を観察することが可能であることが示された。2.-抗原特異的IgE抗体産生一次免疫応答を調節する試みベロトキソイドをリポソーム修飾したVT-リポソームで免疫し、抗VT IgE抗体産生の選択的無反応が誘導されるか否かを検討した。その結果、VT-リポソームはSCID-hu-PBLマウスにおいて抗VT IgG抗体産生は誘導したが抗VT IgE抗体産生は誘導されず、我々がマウスにおいて見いだした知見がヒトかた免疫応答系においても確認された。このことから、SCID-hu-PBLマウスはヒト型IgE抗体産生の一次免疫応答系の検討にも使用可能であることが示された。
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