研究概要 |
目的および方法:Wistar系ratにtri-nitrobenzene sulfonic acid(TNBS)を注腸し、腸炎を誘発し、腸管膜リンパ節細胞について、control群と2週群の表面マーカーによる分類、機能について検討した。 成績:2週後のTNBS群ではControl群に比し、総細胞数は5倍に増加していた。樹状細胞の表面マーカーとされるOX-62によるFACSでの解析ではcontrol群で4%,TNBS群で5%であり、ともにBright群とDim群に分類された。CD4との二重染色による分類では、Dim群の70%はCD4陽性であり、Bright群の70%はCD4陰性であった。OX-62bright群のうち、RT-1B陽性細胞の比率は,Control群の30%に対し、TNBS群で50%まで増加し、一方、dim群のうちRT-1B陽性細胞はControl群の70%からTNBS群で50%まで減少した。TNBS-BSA(Bovine serum albumin)の存在下におけるinterleukin-2産生能の検討では、Control群では有意な増加は示さなかったのに対し、2w後TNBS群では容量依存性に産生能の増強がみられた。この反応が樹状細胞により制御されているか否かを明らかにする目的で、2w後TNBS群におけるOX-62陽性細胞をDEPLETTIONし(99%Negative)、同様の反応をみた結果、IL-2の有意な産生増加は消失した。考察:以上の結果から、TNBS腸炎により腸管膜リンパ節において、CD4(-)樹状細胞のMHC-Class 2の発現増強が起こり、ハプテン化蛋白を提示してT細胞の増殖を誘導することが明らかとなった。
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