前年度作成したプラスミドベクターに、期待したジフテリア毒素A遺伝子の発現が認められなかったため、新たなべクターの作成を開始した。まず、前年度完全に欠失させたNsiIからHaeIIIまでの68bpについて、これを残してアデニン塩基を連続9塩基挿入したオリゴヌクレオチドを付加する方法と、68bpの5側領域約30塩基を残してアデニン塩基を連続9塩基挿入したオリゴヌクレオチドを付加する方法、さらに68bpの3側領域約30塩基を残してアデニン塩基を連続9塩基挿入したオリゴヌクレオチドを付加する方法の3つで、プラスミドを構築した。おのおの作成されたベクターは、ABI 310 Genetic Analyzerを用い直接シークエンス法で実際のジフテリア毒素A遺伝子の蛋白読み枠と合致することを確認した。 次に昨年同様にネオマイシン耐性遺伝子を含むプラスミド上に、上記3種類の改変ジフテリア毒素A遺伝子を導入したベクターを作成した。コントロールベクターは、単純なジフテリア毒素A遺伝子を導入したものとした。これらをマウスES細胞にトランスフェクションし、ジフテリア毒素の発現を検討したところ、68bpのdeletionを行なわなかったベクターにわずかながら細胞死が確認され、期待しうるものと考えられた。なお、ネガティブセレクションには、ネオマイシンを使用した。現在この差異がより明らかとなるよう再度ベクターの構築を検討中である。
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