末梢血T細胞にはTRAIL発現は認められないか、極めて微量である。しかし、インターフェロン(IFN)α、β、γ刺激によりIFN濃度依存性に細胞表面にTRAIL発現が誘導された。一方、HepG2、Hep3B2、SK-HEP-1 PLC細胞等、ヒト肝癌細胞株のほとんどがfunctional TRAIL receptorであるDR4、DR5を発現していることを認めた。実際、IFN(α、β、γ)にて刺激したT細胞と共に共培養を行うと、いずれの細胞でも細胞死シグナルの活性化を介してアポトーシスが惹起される事が明らかとなった。このIFN刺激T細胞によるアポトーシス誘導は抗TRAIL抗体添加によりほぼ完全に回避された。またIFN(α、β、γ)を培養液中に直接添加することでは、高濃度域においてもアポトーシスを惹起することはできなかった。これらの結果より、IFNはT細胞にTRAIL発現を誘導することで、肝癌細胞のアポトーシスを惹起すると結論された。このことはIFNによる肝硬変からの発癌抑制機序の一端を説明しうると考えられた。本研究ではHCVトランスフェクタント細胞を入手できなかったため、in vitroでの検証はできなかったが、B型、C型肝炎患者肝組織にDR4、DR5の発現が認められ、インターフェロンの作用機序には、TRAIL系を介した細胞死による感染細胞排除が関与していることが示唆された。
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