本研究の目的は、強力な抗原提示作用を有する樹状細胞(DC)を用いたヒト原発性胆汁性肝硬変(PBC)病態により類似した疾患モデルの作製を試み、PBCの疾患特異的抗原を明らかにするとともに、詳細な病態解明を行うことである。本年度はDCと胆管細胞の融合細胞の正常マウスへの移入により疾患モデルが作製できるか検討した。 1)胆管細胞の分離 正常C57BL/6マウスの肝臓をコラゲナーゼ処理し、比重密度遠心法とHEA125抗体を用いたイムノビーズ法により胆管細胞を分離する技術を確立した。また、抗PDCモノクローナル抗体を用いたFACS解析により、胆管細胞上にはPDC発現がみられないことを確認した。 2)胆管細胞と樹状細胞の融合細胞の作成、融合細胞の移入によるモデル作製 上述の方法で分離培養した樹状細胞と分離胆管細胞を50%ポリエチレングリコール存在下で融合させ移入したが、胆管病変は認められなかった。 今後はPDC遺伝子パルス樹状細胞を用いて胆管病変を有するモデルが作製できないか試みる予定である。
|