当科入院中に他疾患のため気管支鏡を施行する必要のあった患者で肺気腫を合併している者(n=30)を対象として、マイクロサンプリング法にて末梢気道被覆液を採取した。これを用いてプロテアーゼであるカテプシンS、B、LならびにそのインヒビターであるシスタチンCの末梢気道被覆液中濃度を現在測定中である。シスタチンCに関してはELISA法による測定系を確立し、前例で検出可能であることが示された。まだ症例数が少ないため統計学的処理が行える段階ではないが、次年度に症例数を蓄積して肺機能、CTでの気腫化の程度などの臨床パラメーターとの関連などを検討する予定である。 また当院に通院中の重喫煙者(n=154)および健常非喫煙者(n=105)の末梢血より抽出したgenomicDNAを用いてカテプシンS、シスタチンC、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9の遺伝子多型に関して遺伝子型の決定を行っている。カテプシンSに関しては全検体、シスタチンC、MMP-9に関しては一部の検体で遺伝子型の決定が終了しており、カテプシンS遺伝子型と肺気腫化の程度の間に相関が見られた。これにより肺気腫病因の重要なプロテアーゼであることが示唆された。末梢気道被覆液を採取した全患者のgenomic DNAを採取しており、次年度に前述の遺伝子型の決定を行い関連を検討する予定である。
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