研究概要 |
低酸素性肺血管攣縮の評価 イヌ肺動脈を摘出し,動脈輪を作製しKrebs-Henseleit液を満たしたorgan chamberに懸垂しその等尺性張力を持続的に測定した.コントロール(95%O_2,5%CO_2)と低酸素曝露(5%O_2,5%CO_2,90%N_2)の状態で,サイクリックGMPを介する拡張反応を検討するため,ノルアドレナリン誘起性収縮反応に対するニトロプルシド(SNP)の抑制効果について比較検討した.その結果,低酸素曝露によりSNPによる肺動脈拡張反応は有意に減弱した(Emax80.1±8.6→57.8±6.8%(mean±SE,P<0.01)). KチャネルおよびNa-K-ATPaseの役割に関する薬理学的検証 上記の実験系で,あらかじめ薬理学的阻害薬(イベリオトキシン:Ca^<2+>依存性Kチャネルブロッカー,グリベンクラマイド:ATP sensitive Kチャネルブロッカー,ウアバイン(Ouab):Ka-K-ATPase阻害薬)を添加した条件下で,低酸素性肺血管攣縮の程度を阻害薬非存在下と存在下で比較した.本実験に用いたKチャネルブロッカーおよびouabのいずれも,肺動脈平滑筋の静止時張力には影響を与えなかった.コントロール(95%O_2,5%CO_2)の条件下では,SNPによるノルアドレナリン誘起性収縮反応は,Kチャネルブロッカーの影響を受けなかったが,Ouabの存在下で有意に減弱した.この効果は,肺動脈の内皮細胞を剥離した組織でも認められ,また,ouabの効果は低酸素曝露の影響は受けなかった.
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