研究概要 |
本年度は標的抗原に対するコンビナトリアル抗体Fabライブラリーの作製とスクリーニングを行った.標的抗原は複数であり,順次ライブラリーを作製している. (1)ファージ・ディスプレイ型コンビナトリアル抗体Fabライブラリーの作製 多発性硬化症,CIDP等の自己免疫性神経疾患患者の末梢血,リンパ節,骨髄等よりmRNAを抽出しcDNAを合成後,重鎖及び軽鎖遺伝子を各々数種のプライマーセットを用いてRT-PCRで増幅し,制限酵素で切断後順次ベクター(pComb3またはpComb3H)に組み込みライブラリーを構築した.健常対照としてヒト由来骨髄cDNAライブラリーを用いた.これらのライブラリーにM13系のへルパーファージを感染させることによりファージ表面に一組のFabを表出するファージ・ディスプレイ型のコンビナトリアル・ライブラリーを作成した. (2)ライブラリーのスクリーニング その後抗原特異的なFabクローンをライブラリーより選択・濃縮する過程はPanning法で行った.ELISAプレートに固相化した抗原にファージディスプレイ型のコンビナトリアル・ライブラリーを一定時間反応させた後,非特異的結合を洗いのぞき,特異的に結合したファージのみを酸で溶出し,再度大腸菌に感染させ増幅しそこからファージを溶出し,次のラウンドの抗原に反応させた.抗原に特異的に結合するFabを持つファージを数コロニー同定した. (3)ヒト型モノクローナル抗Id抗体の免疫学的特異性の解析 得られたヒト型モノクローナル抗Id抗体の抗体活性及びリガンド結合能をELISA法にて測定した.内部イメージ(Id)のたんぱくシークエンスを明らかにし,標的分子との相同性を解析中である.
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