研究概要 |
申請者は、多数例の脊髄小脳変性症の遺伝子診断を行い、日本に多い遺伝性脊髄小脳変性症spinocerebellar ataxia 6(以下SCA6)の分子遺伝学的特徴を明らかにしてきた(Matsuyama,Z.,et al.Hum.Mol.Genet.1997;6:1283-1287.)。すなわち、SCA6は、他の遺伝性脊髄小脳変性症と同様にポリグルタミンの伸長が原因であるが、原因遺伝子が既知のP/Q-type電位依存性カルシウムチャネルα1A subunit(以下α1A)であることや発症個体でのCAGリピート数が少ないという相違がある。さらに申請者は、ポリグルタミンをコードする変異遺伝子によるチャネルの機能変化を検討するため、α1Aに遺伝子変異を導入し、その機能変化をパッチクランプ法を用いて対照群と比較検討した。その結果、変異群では、カルシウムチャネルの開確率が減少していることを証明し、細胞内カルシウム濃度が減少することが、神経細胞死につながる可能性を示してきた(Matsuyama.Z.,etal.J.Neurosci.1999;19:RC14.)
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