研究概要 |
本年の研究の目標は,フィッシャー症候群モデル動物を樹立することである.その前段階として,昨年ウシ脳ガングリオシドをウサギに感作することにより軸索型ギラン・バレー症候群の動物モデルを樹立したことを報告した.本年はさらに,投与抗原量の検討や,脱髄型ニューロパチーの実験モデルとの比較を行った.また,電気生理学的,免疫組織化学的検討を加え,末梢神経病変の局在について考察した. ウシ脳ガングリオシド,GM1をウサギに感作し,神経症状観察,抗体検索の他,電気生理,免疫組織学的検討を行った.ガングリオシド投与量に依存して発症率が増加し,2.5mg感作群で全例が重度の麻痺を呈した.よって本モデルでは,ウシ脳ガングリオシド2.5mg感作が適切と考えられた.電気生理学的検討では,ガラクトセレブロシド感作群では急性期より脱髄所見を呈した.それに対し,軸索型ギラン・バレー症候群モデルでは,急性期は一部のF波消失を認めるのみで,複合筋活動電位振幅や伝導速度は異常なかった.免疫組織学的検討では,神経根,馬尾に限局して軸索にIgG沈着を認めた.したがって本モデルでは,血液神経関門が脆弱な神経根に限局して軸索障害が起こることが示唆された.
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