目的;γδT細胞は免疫調節機能に携わっている細胞として重要である。我々はこれまで多発性硬化症(multiple sclerosis::MS)患者の末梢血の+γδT細胞がIL-2で良好に増加することを報告したが、このIL-2反応性γδT細胞はnatural killer細胞(NK細胞)の機能をもつと推測されている。本研究の目的は、神細胞、NKT細胞、NKγδT細胞のMS患者における免疫調節機構の関与について検討することである。方法:MS患者、健常者の末梢血より単核球を分離、IL-2(100U/ml)を含む培養液にて1週間の短期培養を行い、MS患者9名、健常者8名について培養前、後でフローサイトメーターを用い、CD16+CD56+陽性細胞、(NK細胞)、CD3+CD56+細胞(NKT細胞)、CD56+γδT細胞(NKγδT細胞)、CD3+Vα24+Vβ11+細胞(NKαβT細胞)の%を比較した。IL-2反応性T細胞について、K562を標的細胞とした細胞障害活性%を、LDH定量法を用い検討した。結果:MS患者は培養前γδT細胞%は7.89%、培養後38.3%、健常人は6.26%から26.8%であった。CD56+γδT細胞(NKγδT細胞)はMS患者で培養前49.7%から培養後58.44%、健常人は25.35%から培養後37.46%でMS患者では健常人に比し、NKγδT細胞が高値でIL-2反応性も良好。CD16+CD56+細胞はMS患者では25.4%から培養後48.44%、健常人は15.46%から52.26%でNK細胞はMS患者でやや高値であるがIL-2反応性は低下。Vα24+Vβ11+細胞はMS患者0.03%、健常人0.06%でありMS患者で低下。1例のMS患者で寛解期→増悪期→ステロイドパルス後で経過を追った。培養後の結果であるが、γδT細胞は49%→75%→24%となり、NKγδT細胞も29%→42%→12%と増悪期に高値となり、パルス後は寛解期よりさらに低下。細胞障害活性%は31%→84%→10%とγδT細胞、CD56+γδT細胞の変化と同様の変動であった。CD3+Vα24+Vβ11+細胞はこれらと相反し、寛解期0.04%から増悪期0.02%と低下。結論:MS患者の一部ではNKγδT細胞が細胞障害性に働き、病態に関与している可能性が考えられた。今後Th1/Th2バランスの有無について検討する。
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