研究概要 |
(背景)多くの研究者により心筋細胞のアポトーシスにおいてはイオンチャネル、特にKチャネルとCaチャネルが重要な役割を演じることが各々の抑制薬を用いて間接的に証明されている。しかし実際にどのイオンチャネルの変化が主に生じているかについては未だ直接的には確認されていない。 (目的)パッチクランプ法を用いてアポトーシス誘導/非誘導細胞においてKATPチャネルと電位依存性Caチャネルを記録し、これらがアポトーシスに関与していることを証明する。 (方法)ランゲンドルフ法を用いてコラゲナーゼにより単離したラット心筋細胞をコントロール群とアポトーシス誘導群に分類し、両群での上記イオン電流を記録する。 アポトーシス誘導群ではその誘導にFas-ligandまたはceramideを用いた。アポトーシスの確認は光学顕微鏡を用いて細胞の形態変化及びapoptotic bodyの観察により行った。さらにDNAfragmentationの確認はTUNEL法,Taq polymerase法,DNA ladder等にて行う。 (結果)アポトーシス誘導群においては、パッチクランプ実験に不可欠なピペットを細胞膜に密着させることが困難であった。この理由として、アポトーシス誘導群では細胞膜自体に大きな形態的変化が起こっていること、さらに一部では細胞自体がbeatingしていることが原因していると考えられた。しかし、このことは同時にチャネルにも構造的、機能的な変化が起こっていることが推測されるため現在方法を検討中である。非常にデータ数は少ないが、誘導細胞においてはコントロール群に比し、より早期にKATPチャネルの開口が認められ、その開口確率が増加していた。またCaチャネルについては全細胞型パッチクランプ法での記録が必要なため、細胞膜へのピペット接着が困難であることより、過陰圧をかけられず難渋している。
|