【目的】心筋梗塞モデルラットにおいて細胞外マトリックスの制御因子であるTGF-β、connective tissue growth factor(CTGF)、osteopontin(OPN)の遺伝子導入またはantisenseが慢性期左室リモデリングに及ぼす作用を圧、容量測定を用いて評価する。 【平成12年度の成果】 1、遺伝子導入効率の検討; CTGF antisenseおよびexpression vectorの心筋梗塞部への導入を図るべくnaked plasmidの直接心筋内注入による取り込み効率をreporter geneの発現を指標として検討したが、梗塞早期(梗塞1、2日目)複数回でいずれもほとんど発現は認められなかった。梗塞7日目前後の注入では梗塞辺縁部に十分な線維芽細胞の遊走、増殖がみられるためか、同部でのわずかな発現がみられたが刺入部周辺に限局した。 一方OPN FITC labeled antisense oligodeoxynucleotide(antisense ODN)を経静脈的、または直接梗塞部へ注入したが、経静脈的投与のpositive controlとした腎への取り込みと比し、心筋内には数%程度しか取り込みがみられなかった。また局所への注入はplasmid同様、注入部に限局して弱い螢光を認めた。 現在当初計画と異なりadeno virus vectorを用いる系を構築中である。 2、心筋梗塞ラットでの圧、容量測定系の確立 麻酔下開胸において、心尖部よりコンダクタンスおよびプレッシャーカテーテルを刺入し測定するシステムを用い、まず正常ラットから、ついで梗塞ラットでの測定系の確立を図っているが、後者では梗塞による心尖部の菲薄化のため測定が不可能な例があり、症例が限られるため、今後心エコーによる測定も並行して行う予定である。
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