1)培養血管平滑筋細胞(VSMC)遊走機能に対するOMの作用。 ボイデンチャンバー法にて、OM刺激により、遊走VSMCの増加を確認した。引き続き細胞形態変化の検討を開始し、共焦点レーザー顕微鏡を用いた免疫蛍光法、三次元解析法により評価を行った。FAK染色により、細胞形態の変化を確認できたが、遊走能に関連した変化であるか検討中である。また、VSMC遊走能に関与する細胞内シグナリング系の解析を同時に、開始しているが、これまでのウェスタンブロット法や、PCR法により、OM投与により、ERK系に関連したシグナリングとして、間質マトリクス代謝に影響があることが確認できた。確認できた間質マトリクス代謝系への影響としては、MMP9があり、ゼラチンザイモグラフィーにて、その活性上昇を認めた。MMP2など他のMMPについても検討中である。今後は、ERK系を特異的にブロックし、OMによるVSMC遊走能に対する影響を検討する予定である。 2)ラットへのSOCS-1遺伝子導入による遺伝子治療 SOCS-1遺伝子in vivo導入のため、ダブル・バルーン法にて、バルーン損傷時にラット頚動脈にin vivo遺伝子導入する系を確立中である。現在、ルシフェラーゼおよびSOCS-1組み込みベクターをHVJリポソームに封入し、ダブル・バルーン法にて、バルーン損傷時にラット頚動脈にin vivo遺伝子導入する系の確立を施行中である。これまでにバルーン損傷時における再生内膜肥厚部位にて、Jak-STAT系蛋白の発現や、MMP9の発現を確認しているため、今後、バルーン損傷時にSOCS-1遺伝子を導入したラットと対照ラットにおける再生内膜肥厚の程度・MMP9やJak-STAT系蛋白の発現・活性化レベルを比較検討する予定である。
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