(1)8%高食塩食を負荷したDahl食塩感受性ラットと0.3%食塩食負荷を行ったコントロール群のDahl食塩感受性ラットの比較検討において、心肥大期・不全期にCD31免疫染色法にてcapillary densityを計測したところコントロール群と比較し高食塩食負荷群では、有意に上昇していることが明らかとなった。これに伴い圧負荷心においては血管新生が誘導されることが明らかとなった。これが心筋組織内虚血に対する血管新生反応か否かを検討するため、現在hypoxia inducible preteinの関与を検討中である。また、心筋組織内虚血に対する血管新生がHGF/c-Met系を介しているかの検討のため抗HGF抗体および抗c-Metレセプター抗体による免疫組織染色・in situ hybridizationを行ったが、コントロール群に比較し有意なHGF発現の増強とc-Met発現の増強が確認できた。 (2)血管新生療法による肥大心から不全心への進展防止のため、経カテーテル経冠動脈的にヒトHGFplasmid-HVJ-liposome-complexの心筋への導入を行った。ヒトHGFとラットHGFが交差反応を示さないことから、心筋局所にヒトHGFの発現は免疫染色を用い容易に確認され、心筋間質の繊維化は若干抑えられてはいるものの、残念ながら有意な血管新生の増強は認められなかった。以上より、現在HGF遺伝子導入による心筋間質リモデリングの予防を検討中である。
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