インフォームド・コンセントの得られた進行神経芽細胞腫症例の骨髄、末梢血あるいは腫瘍生検検体について微小残存病変(MRD)の定量を行なった。腫瘍生検検体は検索できた例が少なく現在のところ評価はできていない。経時的に検索が可能であった症例では、初診時の検体ではMRDは最大値を呈しており臨床的に治療が有効であった場合は並行してMRDの減少を認める傾向であった。また経過中MRDが上昇した症例がみられたがこの中には再発に至った症例があり、総合的にみてMRDと臨床経過の相関傾向がみられている。造血幹細胞移植術を予定した症例では移植前に回収した移植片に含まれるMRDの検索を行なった。一般に複数回の回収が行なわれるため移植に際しできる限りMRDの少ない移植片を選択することが安全な移植を成功させるため重要である。長期観察の行なえた例はまだ無いが少なくとも1年近く再発せず経過している。これらの症例では定期的に検索し、臨床的には検出できない再発兆候を早期に発見できるものと考えている。しかしながらMRDが低値を示しながら臨床的に増悪した例もあり、また逆にMRDが上昇傾向にありながら臨床的にはなんら問題のない例も存在している。この意義については今のところ不明である。今後の方向としては神経芽細胞腫のマス・スクリーニングで陽性となった症例について検索を検討しており、より明確な基準設定と評価の手段を確立したいと考えている。
|