難治性小児白血病では、種々の機序で化学療法剤によるアポトーシスが抑制されている。同種骨髄移植は、化学療法耐性白血病に対してもしばしばGVL効果を発揮する。従って、骨髄移植を行わずにGVL様の効果を誘導できれば難治性小児白血病の治療の安全性と成績が大きく向上すると期待される。一方、種々の細胞傷害因子が同定され、 Fas-L(ligand)/Fas(受容体)に加えTRAIL(TNF-related apotosis inducing ligand)/TRAIL-受容体系のGVL効果への関与が検討されてきた。そのなかで、death domainを有するDR3受容体のligandとして近年TWEAKが同定され注目されているが、白血病への関与については不明である。そこで本年度の研究では、種々の白血病細胞株でのTWEAK/DR3系の発現をフローサイトメトリーで検討するとともにTWEAKの白血病細胞株への影響を検討した。 DR3の発現は、リンパ性白血病細胞株ではstem cell由来のPh1陽性及び11q23転座型細胞株も含めてほとんど認められなかったのに対して、骨髄性白血病細胞株ではひろく認められた。TWEAKの添加では、DR3発現とは無関係にINFとの供培養下も含めて明らかなapoptosisは観察されなかった。しかし、最近TWEAKがDR3のligandである点に関しては否定的な報告もあり、さらに検討を続けている。一方、trans-membrane型のTWEAKの発現を検討したところ、一部の骨髄性白血病細胞株で強い発現を認めた。特に慢性骨髄性白血病急性転化由来株に比べて急性骨髄性白血病由来株で発現が強い傾向を認めた。現在、この白血病細胞上のTWEAKがapoptosisを誘導しうるのかという点も含めて、TWEAK発現の意義について解析を継続している。
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