4種のヒト神経芽細胞腫細胞株(NB-1、NB-16、NB-19、NH-6)をヌードマウスの皮下に移植し、腫瘍形成能および骨転移能を検討した。骨髄転移巣由来のNB-16とNB-19は原発巣に由来する他の2株と比較して強い腫瘍形成能を示し、NB-19は脾腫を来した。移植後8週時のX線撮影にてNB-19担癌マウスの大腿骨遠位端、脛骨近位端に骨融解像が認められた。ヒトgenome DNAに特異的なAlu配列を増幅するgenomic PCRと神経芽細胞腫のマーカーであるtyrosine hydroxylaseのRT-nested PCRを用いたPCR-based micrometastasis assayによりNB-19担癌マウスの骨髄中に腫瘍細胞の存在が確認された。NB-19細胞とマウス骨髄細胞の共存培養を行ったところ、活性型ビタミンDなどの破骨細胞誘導因子の非存在下でも酒石酸抵抗酸フォスファターゼ陽性の多核細胞が形成された。この共存培養においては骨髄細胞の単独培養と比較して、IL-1α、cyclooxy genase-2(COX-2)、RANKL(osteoclast differentiation factor;ODF)の発現が増加していた。IL-1αおよびprostaglandinはRANKLの誘導因子であることが報告されていることから、NB-19細胞とマウス骨髄細胞の共存培養におけるIL-1αおよびCOX-2の発現増強はRANKLの発現を増加させるものと考えられた。RANKLに対する内因性の阻害因子であるosteoprotegerin(OPG)のリコンビナント蛋白を作製して、NB-19細胞と骨髄細胞の共存培養に添加したところ、破骨細胞様細胞の形成が阻害された。以上より、NB-19担癌マウスの骨髄中においては破骨細胞形成因子であるRANKLの発現が増加し、骨融解性転移に関与した可能性が示された。
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