研究概要 |
myc遺伝子は,mycファミリー(N-myc,C-myc,L-myc,v-mycなど)に属する癌遺伝子であり,かつ細胞周期関連遺伝子としても知られている。そのコードするタンパク質は核内リン酸化タンパク質である。mycファミリーのうちc-myc遺伝子は,各種の細胞に発現していることが知られており,皮膚疾患においても有棘細胞癌や尋常性乾癬で正常皮膚と比べ遺伝子,タンパク質いずれのレベルでも増加していることが報告されている。われわれはSVHK(SV40 transformed human keratinocyte)におけるc-myc遺伝子の転写制御について検討した。約2000kb上流の部位にtransactivationに働く配列があることが分かった。またこの結合配列をプローブにgel shift assay, UV cross linkingを施行した結果,この領域を介した転写制御は既知の転写因子E2Fタンパク質だけではなく,それ以外の約45KDaの分子量を持つタンパク質とのdimerを形成している可能性が判明した。現在,この認識配列をプローブに,south western法でさらなるタンパク質の性質を検討中であり,同時にDNA-DNA hybridization法を用い,未知の転写因子のcDNAを探索中である。もう一つの研究課題である,PCNA遺伝子の上流域の解析は,各種のdeletion mutantを作成中である。
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