研究概要 |
BALB/cマウス皮膚から、抗1-A^d抗体を用いたパンニング法によりランゲルハンス細胞(LC)を精製し、以下の実験に供した。尚、本法により得られたLCの純度が95%以上であることを、フローサイトメトリーにより確認してある。 1.神経栄養因子産生の制御 申請者は既に、LCによるNGF及びbrain-derived neurotrophic factor(BDNF)の産生を確認しているが、本年度はこれら神経栄養因子の産生に及ぼすGM-CSF、TNF-αや抗CD40抗体の影響について検討した。LC培養上清中のNGF及びBDNF濃度をELISAにて解析した結果、抗CD40抗体の刺激によるこれら神経栄養因子濃度の上昇が認められた。他方、GM-CSF及びTNF-αを添加しても、これら因子の培養上清中濃度に変化はみられなかった。 2.セロトニン受容体の発現 セロトニンは神経伝達物質として、広く中枢及び末梢神経系に分布し、ストレスに深く関与していることが知られている。そこで申請者は、ストレスがLCの機能に与える影響を検討するべく、まずLCにおけるセロトニン受容体の発現につき解析した。RT-PCRにて、セロトニン受容体のサブタイプである5-HT1A, 2A及び2Bの遺伝子発現が確認されたが、5-HT1B, 1C及び5-HT3の発現は認められなかった。さらに5-HT1A及び2Aについては抗体が入手可能であったためWestern blotting法にてさらに解析し、両者とも蛋白質レベルでの産生が確認された。次にセロトニン受容体の機能について検討するべく、LCにおけるMHC classII発現に対するセロトニンの効果を解析したところ、セロトニンによりMHC classIIの発現は抑制された。これはストレス関連因子のセロトニンによりLCの機能が抑制されることを示すものである。
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