1.CXC chemokine receptor 5(CXCR5)は成熟した皮膚由来の樹状細胞(migratory dendritic cells:migDC)に発現されていた:migDCがCXCR5をmRNAレベルで発現しているか否かを調べるため、定量的RT-PCRを行った。migDCのCXCR5発現量は、新鮮なランゲルハンス細胞の約50倍であり、培養したランゲルハンス細胞とはほぼ同等であった。なお、骨髄由来の成熟した樹状細胞(bone marrow-derived DC:BMDC)のCXCR5発現量は、migDCの約1/14であった。 2.migDCは化学遊走試験でB lymphocyte chemokine(BLC)に対して反応した:CXCR5がmigDCの細胞表面上に蛋白レベルで発現されており、ケモカインレセプターとして機能していることを確かめるために、化学遊走試験を行った。migDCはBLCに対して反応した(100ng/mlの濃度で、基準値の約4倍の反応)が、BMDCはBLCに対してほとんど反応しなかった。なお、BMDCはSecondary lymphoid-tissue chemokine(SLC)に対しては反応した(100ng/mlの濃度で、基準値の約8倍の反応)。 3.migDCはin vivoでリンパ節のT細胞領域のみならずB細胞領域にも遊走した:CXCR5を発現しているmigDCが、実際にリンパ節のB細胞領域に遊走するか否かをin vivoで調べるため、予め細胞膜を染色したmigDCをマウスの足底に注射し、48時間後に鼠径リンパ節を回収し、migDCのリンパ節内での分布を調べた。migDCはT細胞領域にも存在したが、約40%はB細胞領域に存在することが確かめられた。同様の実験をBMDCを用いて行ったが、BMDCはほとんど全てT細胞領域に存在した。 以上より、成熟した皮膚由来の樹状細胞は細胞表面にCXCR5を発現し、リンパ節内でT細胞領域からB細胞領域に遊走し、B細胞とも相互作用する可能性が示唆された。
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